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ついに完成!航空機誕生の瞬間「ロールアウト」です!
工場内での艤装(ぎそう)とその作動チェック作業をすべて終えた「US-2」が、工場から引き出されてきます。航空機製造の世界ではこれを「ロールアウト」と呼び、初飛行と並んで航空機の一生の中で特別な瞬間と位置付けています。
「US-2」の通常のロールアウトでは特にセレモニーなどは行われませんが、“飛行艇職人”たちにとっては数年に一度の感慨深いもの。ゆっくりと慎重に引き出されていく姿を見て、緊張感のなかにも誇らしさを感じるといいます。引き出された「US-2」はそのまま工場内の給油設備に横付けして燃料を搭載します。次はエンジン始動・・・とはならず、いったん、その燃料を完全に抜き取ってしまいます。これは、燃料タンクからエンジンまでの燃料配管のなかに異物などが残っている可能性を考え、これを洗い流してしまうためで、この作業を「フラッシング」といいます。ほかにも油圧の配管など、油脂類が通るラインはすべてこの作業を行うそうです。もったいないですが、安全には代えられません。
電気系統、油圧系統、燃料系統のチェックが全て完了したら、その後初めてエンジンを回します。4基のエンジンのバランス調整がとても重要で、そして難しいそうです。もちろん、運転が終わった後は異常がないか目視でも確認します。
なお、「US-2」の7号機は、新明和工業が新造した飛行艇の通算50号機(「PS-1」×23機、「US-1」・「US-1A」×20機、「US-2」×7機)にあたります。これを記念して、2020年2月20日には、ロールアウト式典が盛大に催されました。
YouTube「新明和チャンネル」で、ロールアウト式典の様子がご覧いただけます。ぜひチェックしてみてください!(「新明和 飛行艇50号機ロールアウト式典」で検索)
※艤装(ぎそう)・・・エンジンや機体内外の装備品を取り付ける工程のこと、または取り付ける装備品そのもの。
ライター 板倉秀典
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