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実はジェットエンジンを6基も積んでいるんです!
機体の全塗装が終わった「US-2」は、再び組立工場に戻り、艤装(ぎそう)の最終段階に入ります。そのハイライトといえる工程が、エンジンの搭載です。「US-2」は、ロールス・ロイス社製AE2100Jターボプロップ(ジェットエンジンでプロペラを回して推進する)エンジンを4基搭載しています。このエンジンは1基あたり約4,600馬力で、前任機「US-1A」のエンジンから約3割もパワーアップしています。
AE2100Jエンジンは天井のクレーンでつり上げられ、エンジンマウントに慎重に位置を合わせ、ボルトで結合していきます。この4基のエンジン(以下、メインエンジン)の搭載が完了すると、次にプロペラを取り付けます。「US-2」ではプロペラの羽根が「US-1A」までの4枚から6枚に増えましたが、取り付けの手間はほとんど変わっていないそうです。
ところで、「US-2」には合計6基ものガスタービン(ジェット)エンジンを積んでいるってご存じでしたか?
実は今ご紹介したメインエンジンのほかに、APUとBLC用の小型ガスタービンエンジンを1基ずつ搭載しています。APU(Auxiliary Power Unit)はメインエンジン停止中に機内に電力や油圧を供給したり、メインエンジンを始動させるための圧縮空気を供給したりといった役割があります。私たちが空港で旅客機に乗り込むとき、機内の照明やエアコンがついているのはこのAPUのおかげです。
BLC(Boundary Layer Control)は、現在製造されている飛行艇では「US-2」だけが搭載しているもので、このBLC用エンジンによってつくられた圧縮空気を主翼や尾翼の舵面から噴き出すことで、通常の航空機よりゆっくり飛ぶことができます。これにより離着水の速度が大きく下がり、着水時の衝撃や海水の飛沫(しぶき)を抑えることができます。「US-2」はAPU、BLCともに、海水を吸い込まないよう胴体の最も高い位置、主翼付け根付近に搭載しています。
※艤装(ぎそう)・・・エンジンや機体内外の装備品を取り付ける工程のこと、または取り付ける装備品そのもの。
ライター 板倉秀典
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