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胴体に主翼を取り付け、
ついに飛行機✈の姿になりました!
前回は、「ブロック工法」でつくられた機体各部を接合して機首から機尾までの胴体が出来上がり、その胴体全体をクレーンで吊り上げて治具から外す「治具下ろし」の工程をお伝えしました。
今回は、その胴体に主翼など大きなパーツを取り付ける工程をご紹介します。
古今東西の飛行艇は、離着水時に跳ね上がる海水の飛沫で損傷しないよう、エンジンやプロペラが高い位置にあります。
「US-2」も同様で、胴体の上に主翼が載る「高翼配置※」になっています。
つまり、飛行中は主翼から胴体がぶら下がっています。
「低翼配置」の航空機では、胴体を製造する段階で主翼取り付け部分もつくってしまいますが、高翼配置の「US-2」の場合は、完成した胴体の上に主翼を載せてガッチリ固定し、胴体と主翼との段差を「フェアリング」というカバーで滑らかにします。
その主翼も、大きく3つのパーツに分けて「ブロック工法」でつくられます。
胴体に固定される「基準翼」と、その基準翼と接合する左右それぞれの「外翼」です。いずれもクレーンで吊り上げ、位置を合わせてボルトやリベットで固定します。
大きく重いブロックを高い位置で接合するため、専用の足場を組み、作業員も位置を決めて慎重に作業を行います。そのため、基準翼、左外翼、右外翼の接合作業にそれぞれ1日の時間を費やします。
※「高翼配置」は飛行艇のほか、飛行場で荷物の積み降ろしがしやすいよう胴体が低い位置に設計される輸送機などでも主流の配置です。反対に、エンジンと胴体をなるべく遠ざけて、客室内に伝わる騒音を抑えたい旅客機の多くは「低翼配置」になっています。なお、「US-2」の場合は、胴体そのものも縦長に設計されていて、ここからもエンジンをできるだけ高い位置にしようとした開発陣の意図が見て取れます。







ライター 板倉秀典
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