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部品塗装
塗りの工程も職人技が冴えます
第3回では表面処理の工程を紹介しました。表面処理を終えた「US-2」の部品は、定められた時間内に塗装ブースに運び込まれて「塗装」されます。その最大の目的は、部品の耐食性を高めること。塗料の被膜によって、海水などが部品表面に直接触れないようガードするわけです。
塗装ブースで最初に塗られる塗料を「プライマー」といいます。「US-2」の部品の場合はイエローのプライマーで統一されているため、この後の工程で部品を組み立てていくと、やがて“黄色い「US-2」”が姿を現します。「US-2」といえば濃い青色のイメージですが、これは「トップコート」と呼ばれる塗料を上塗りしたもので、組立が終わってから機体全体を一気に塗り上げているのです。
黄色のプライマーはいわば下地塗装ですが、「US-2」の場合は機体の表面と機内の部品によって、それぞれ塗装の回数や膜厚(塗膜の厚さ)など、塗り方も指定されています。この膜厚はだいたい人の髪の毛1本分くらいの薄さです。
塗膜がこれより薄いと耐食性が低くなり、反対に厚いと機体全体が予定より重くなってしまうため、海水に直接触れる環境にありながらも軽量でなければならない飛行艇製造の難しさがここにも現れています。そのため、この工程でも機械に頼らず、作業員が手作業で塗装しています。
(1)塗装する部品を金網の上に並べていきます。アルミ合金の部品は紙のように軽いため、スプレーガンで飛ばされないように奥側におもりを置いています。
(2)“穴の部分は塗装しない”と指定されている部品は、このように穴に紙を入れてマスキングします。とても細かい作業ですね。また、塗装時にむらにならないよう、タグや針金の位置もあらかじめ整えておきます。
(3)部品はリフトにのせられ、ゆっくりと塗装ブースへ移動します。
(4)塗装ブースです。機械だと塗膜にむらができやすいそうで、職人の手作業で行っています。
(5)塗装ブースから出てきた部品はラックごと乾燥機に入っていき、規定の温度と時間で乾燥させます。乾燥機から出てきた部品は、今度は裏面を塗るためにひっくり返され、再び塗装ブースに向かいます。
(6)プライマー以外の塗料を塗ったり、特殊な形状の部品に塗装したりするときは、このように作業します。塗装ブースは、塗料の細かい粒子が空中に漂わないような仕組みになっています。
(7)大きな部品を塗装するブースです。甲南工場には「US-2」が丸ごと1機入る巨大な塗装ブースもあります。その様子は連載後半でご紹介します。
(8)作業の終わった部品は一つ一つ人の目でチェックしていきます。角や穴などに塗装ができていない部分をみつけたら、筆で慎重にタッチアップしていきます。集中力と根気がいる作業ですね。
ライター 板倉秀典
- ※本連載は、防衛省の許可を得て制作、掲載しています。内容および画像の転載はご遠慮ください。
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