流体(水処理機器)

マンホールポンプ場向けクラウド監視システム「マンポネット®(クラウド)」に不明水診断機能を追加

下水道施設への雨天時浸入水の流入エリア絞り込みをサポート

2025年07月04日

新明和工業株式会社(本社:兵庫県宝塚市、取締役社長 五十川龍之)は、2025年1月に、水処理費用の増加要因のひとつである雨天時浸入水(以下「不明水」)の流入エリア絞り込みをサポートする「不明水診断機能」を開発し、同年2月から販売を開始しました。 なお、本機能は、2025年7月29日から4日間にわたって開催される「下水道展❜25大阪」に出展いたしますので併せてお知らせいたします。

開発の背景

  • 近年、下水道施設の老朽化や雨水用配管の誤接合などにより、雨水などの「不明水」が誤って下水道に浸入するケースが増えており、これが自治体の下水関連予算を圧迫する要因となっている。
  • 「不明水」の浸入箇所特定には、広範囲にわたる調査を要しコストがかさむこと、また、職員の減少や高齢化による専門技術の継承を課題とする自治体も多く、浸入箇所を特定する効率的な手段が求められていた。
  • マンホールポンプ場における水中ポンプで高シェアを誇り、当社の監視システムを通じてポンプの稼働データを収集する中で、これまで培ってきた当社のノウハウと収集したデータを活用することで「不明水」の浸入エリアの絞り込みをサポートできるのではと着想し、この度の「不明水診断機能」の開発に至った。
「不明水」とは

下水道施設へ本来流入することのない浸入水であり、直接浸入水、地下水、その他の3つから構成されています。

「不明水」は、下水処理量の増加にとどまらず、処理能力を超えると下水管からの逆流による溢水やマンホールのふたの浮上・土砂流入、処理能力の低下などを引き起こし、道路陥没や公共衛生の悪化などに波及するリスクがあることから、豪雨などの災害発生時の二次災害を「減災」するためにも「不明水」対応は必須であり、浸入元の特定が自治体の大きな課題となっています。

また、国内で主流の「分流式下水道」においては、雨水と下水(汚水)管が分かれており、本来は下水の処理量が天候に大きく左右されることはありません。こうした中、雨天時の下水処理量が、上水使用量に対して急激に増える事象が各所で発生しており、発生要因の多くが「雨水の直接浸入水」と推測されるものの、定量的に把握するためには多くの時間と調査費用が必要となり、対策が進んでいない自治体が多いのが現状です。 当社の「不明水診断機能」においては、雨水による直接浸入水に対し診断を自動で行いサポートいたします。

新明和の「不明水診断機能」とは?

雨天時などに、気象庁提供の降雨データと、マンホールポンプ場内の水中ポンプの吐出し量等の稼働データから、「不明水」の影響度を分析し、地図上で視覚的に示すことで、浸入エリアを絞り込む判断材料の一つとして提供するシステムです。

これにより、下水道関連業務の経験の有無を問わず、影響度の高いマンホールポンプ場を起点に調査することで、「不明水」の浸入箇所の特定作業を効率的に行うことができます。

特長:「不明水」の影響度をビジュアル化し、浸入箇所の特定作業を側面支援

  1. 1パソコン画面の地図上に、マンホールポンプ場ごとの診断結果として「不明水」の影響度を色分けして示すことで、「不明水」の影響を受けているエリアを絞り込みます。
  2. 2同時に、マンホールポンプ場ごとに雨天時の吐出し増加量を一覧で示し、「不明水」の影響度を、定量情報として提供いたします。
  3. 3降雨量と水中ポンプの吐出し量の関係をグラフや数値で示し、浸入箇所の特定に向けて精度の高い情報を提供いたします。
「不明水」の影響度を地図上に示す(地図上の赤いアイコンが、「不明水」の影響を大きく受けているマンホールポンプ場)
「不明水」の影響度を地図上に示す(地図上の赤いアイコンが、「不明水」の影響を大きく受けているマンホールポンプ場)
個別マンホールポンプ場の詳細診断画面(降雨量が増加すると水中ポンプの吐出し量も増加していることが、グラフや数値で確認できる)
個別マンホールポンプ場の詳細診断画面(降雨量が増加すると水中ポンプの吐出し量も増加していることが、グラフや数値で確認できる)
  1. ※1導入要件:当社製の監視計(SV28L)をご採用いただき、クラウド監視システム「マンポネット®(クラウド)」にご契約いただいたお客様は、改めてのご契約や追加料金は発生いたしません。
  2. ※2ご留意事項:「不明水」の浸入箇所を判断・特定するシステムではございません。浸入箇所を特定する前段階の、エリア絞り込みを支援する機能です。

当社の取り組み

当社では、2002年にマンホールポンプ場をウェブ上で遠隔監視するシステム「マンポネット®(クラウド)」を開発、その後2020年にAI、IoT技術を活用し、故障予測や予知保全などAI診断機能の提供を開始するなど、下水道施設の維持管理業務の効率化支援に取り組み、これまでに国内約1万機場に導入されました。

少子高齢化に伴う下水道収入の減少や、不明水による処理費用の増加など、地方自治体の財政は今後も厳しい状況が続くと考えられます。 当社は、マンホールポンプ場の監視のみならず、ストックマネジメントや不明水診断など、維持管理業務をサポートする機能の開発を通じて、今後も自治体における下水道事業の課題解決に取り組んでまいります。

本件に関するお問い合わせ先

報道機関の方

新明和工業株式会社 経営企画本部 広報部

〒665-8550
兵庫県宝塚市新明和町1-1

製品について

新明和工業株式会社 流体事業部 事業企画部

〒230-0003
横浜市鶴見区尻手3-2-43

以上

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