受け継ぐこと - 匠の技と心意気

丁寧に向き合う心意気

丁寧に向き合う心意気

特装車事業部 広島工場 製造部
波田さんHADA

特装車事業部 波田

丁寧に向き合う心意気

特装車事業部 広島工場 製造部
波田さんHADA

 会社に入って最初に担当したのは量産ダンプトラックの組立だった。「1台を6、7分のペースで完成させなければならず、当時はこのスピードについていくのが大変でした」と波田さん。自分が担当した作業のミスや遅れが後工程に影響するというプレッシャーが大きかったが、「苦労した分、技能の基礎はしっかり身に付きましたね」。その後は塵芥車の組立担当となって、現在に至る。「塵芥車は大半が受注生産で、取り付ける部品点数も多く、ダンプとの違いに戸惑いました」と、当時を顧みる波田さん。「若手のころはたくさん失敗もしましたが、そのたびに周囲の先輩が正しい方法を教えてくれたり、アドバイスしてくれたりと、たくさん助けてもらい、その経験を生かしてきたからこそ、今の自分があります」。一貫して目の前の製品と真摯に向き合い続けた経験が、匠の礎となっている。

 現在は、係長として組立工程全体に目を光らせるとともに、後進の育成にも携わる。「会話を大切に、皆が働きやすい環境づくりを心掛けています。若手が成長する姿を見るのが楽しみ」とほほ笑む。自身の若かりしころ、失敗を学びに変えてくれた当時の先輩の姿を思い出し、「若手の皆さんにも、失敗を恐れず新しいことに挑戦することで、技能者としての“引き出し”を増やし、レベルアップしていってほしいと思います」。

 また、どんなときも波田さんは「製品の向こう側にいるお客さま」を忘れない。「雑な仕事が一番嫌いです」と、穏やかな口調の中に強い気持ちをにじませる。つくり手の思いは自ずと品質に表れ、お客さまにも伝わるという。「常に、丁寧な気持ちで作業することを強く意識しています」。これこそが後輩たちに最も伝えたいことだ。「現在多くの注文をいただいており、製造現場は多忙です。お客さまをお待たせしている状況で、いち早く届けたいという気持ちはありますが、忙しいときほど、お客さまの姿を思い浮かべながら、1台1台丹精込めて手掛けてほしいですね」。自分たちの製品を待っているお客さまを思い、今日も波田さんは目の前の1台に思いを込めて向き合い続ける。

仕事の相棒

テスター・デジカメ・携帯電話

「自分たちが組み立てた製品の品質に責任を持つ」という気概で、テスター(右上)は、電気系統に不具合がないかどうかを確認する場面で、デジカメ(下)は不具合箇所の記録時に使用。「何かあったとき、すぐに相談したり調整したり迅速に行動できるように」と、携帯電話(左上)も肌身離さず身に付けている。

仕事の相棒
匠の横顔

匠の横顔

 波田さんと同じ部署で塵芥車の塗装を担う下石さん(左)は、「普段、私は塗装ブースにおり、主に組立の現場にいる波田さんとは少し離れたところで仕事をしていますが、どんな悩みや相談にも的確なアドバイスをいただけるので、安心して自分の仕事に集中することができます」。丁寧で質の高い仕事ぶりから、波田さんからの信頼も厚い。夏場はかなり高温になる過酷な環境下で作業に当たっているが、「きれいに、早く仕上げることを心掛けています」と、下石さん。「今後は自分の腕を磨くとともに、積極的にコミュニケーションを図ることで社内の人脈を広げ、波田さんのように皆から信頼される存在になりたいと思います」。“忙しいときほど丁寧に”匠の思いは確実に、後進に受け継がれている。