塵芥車を用いた「廃棄物収集業務効率化システム」の開発

人手不足やノウハウ継承等の課題解決を目指して
DXの適用で、経験や勤続年数を問わず、ベテラン並みの廃棄物収集作業を実現

開発の背景

急なルート変更、応援手配など、連絡手段の基本は「電話」
ごみの積載量はドライバー、配車采配はオペレーターやドライバーの経験値に依存

塵芥車は、家庭や事業所から出るさまざまな廃棄物の収集に用いられ、あらかじめ決められたルートを走行する前提で運用されている。だが実態は、回収する廃棄物の量や交通事情が曜日や時間帯によって異なるため、状況に応じたルート変更や車両の応援手配が必要になる。また、効率よく収集するには、ドライバーとオペレーター間の連携やノウハウが不可欠で、これらのやりとりは、主に電話が用いられている。

人手不足・ノウハウ継承という課題解消は、業界全体が抱える課題

廃棄物収集業界では、従来からの人手不足に加え、高齢化や 2024 年問題(時間外労働時間の上限設定に伴う輸送力不足)も重なり、更なる人手不足が懸念されている。自治体や事業者からは、経験年数を問わず、誰もが効率よく塵芥車を運用できる施策を望む声が上がっていた。

新明和のソリューション

「1日のスケジュールに沿って走行し、決まった場所に停車するという共通点をもつ塵芥車とバス。人手不足や働き方改革が叫ばれるなか、塵芥車では国内シェア6割を誇るなど、特装車のリーディングメーカーである新明和と、バスロケーションシステムをはじめバスの運行を支援するさまざまな製品・システムを提供するなど、国内唯一のバス用電装機器のトータルサプライヤーであるレシップが、双方の技術と知見の融合に合意し、効率的かつ持続可能な廃棄物の収集運搬の実現を目指して「廃棄物収集業務効率化システム」の共同開発に着手。

「廃棄物収集業務効率化システム」とは

車載通信機器を搭載した塵芥車から、位置情報や稼働情報、積載状態、収集履歴など、リアルタイムで収集した多様なデータを活用し、オペレーターとドライバー双方の業務効率を向上するシステム。

従来、塵芥車に積載したごみの量の把握はドライバーの経験値に頼っており、オペレーターとは電話で状況を共有していたが、本システム導入により、オペレーターは複数車両の位置や稼働状況をリアルタイムで把握できるため、配車の手配やドライバーへの連絡が容易に。また、ノウハウを盛り込んだルート案内や現場のルールなどが表示できるコメント機能も備えており、実務経験に関係なくベテラン並みの業務遂行が可能に。

さらに、収集作業後の日報の自動作成機能や、塵芥車のメンテナンス時期通知機能を備えるなど、廃棄物収集業務の効率化を全面サポート。

(詳細は、以下の画像をクリックして特設サイトをご覧ください。「オペレーター」「ドライバー」「経営者」の3つの視点でご紹介しています!)

【2025年内のサービス開始を目指し、実証実験を実施中】

本「廃棄物収集業務効率化システム」について、廃棄物の収集運搬事業を展開されている企業様にご協力いただき、実稼働中の塵芥車を用いた実証実験を行っています(詳細につきましては、末尾の連絡先までご連絡ください)。

実証実験の対象機能
ドライバ―支援 オペレーター支援
  • 経路ナビゲーション(簡易表示)
  • リアルタイムルート
  • 自動収集記録と収集日報の電子入力機能
  • 収集ルートの俯瞰表示
  • メッセージ確認機能
  • 車両位置の遠隔確認
  • 収集ルート・収集実績・車両の電子管理
  • 日報データの自動作成、電子管理
  • 個別または全車両へのメッセージ送信
サービス開始時 追加予定の機能
ドライバ―支援 オペレーター支援
  • 経路ナビゲーション(地図表示)
  • 車両連携(積載量表示・メンテナンス情報)
  • 多言語化対応
  • 住民・事業者向け塵芥車の位置情報の提供
  • 車両積載量の遠隔確認
  • 塵芥車のメンテナンス情報の提供
実証実験 受け入れ先
社名(本社所在地) 株式会社カワセイ様(神奈川県川崎市)
使用する塵芥車/台数 回転板式塵芥車(2、3トン車級) 3台
実証実験地域 川崎市内
塵芥車収集対象 家庭系一般廃棄物、事業系一般廃棄物
実験期間 2025年5月12日~25日
社名(本社所在地) 株式会社ミダックホールディングス様(静岡県浜松市)
使用する塵芥車/台数 プレス式塵芥車(3、4トン車級)
実証実験地域 浜松市内
塵芥車収集対象 事業系一般廃棄物
実験期間 2025年6月2日~30日

開発現場の声

特装車事業部

営業本部 直販営業部 西村さん、新事業推進部 清上さん

西村さん(左)、清上さん(右)

当社は、1954年にガーベージ・トラックの生産を開始して以降、塵芥車製造における国内のパイオニアとして、70年を超えて廃棄物収集業界に寄り添い、お困りごとを伺いながら製品開発を行ってまいりました。こうした取り組みが奏功し、今では国内を走る塵芥車の2台に1台が新明和製です。

私達は入社以来、特装車の営業、開発・設計に携わり、中でも塵芥車には長く携わってきたため、営業と開発でタッグを組み、その時代における廃棄物収集の課題に向き合ってきました。トップシェアメーカーとして塵芥車の性能や機能、能力はもちろんのこと、省力化、火災対策、臭気対策、巻き込まれ事故対策など、付加価値商品も他社に先駆けて市場に提供し市場をリードしてきましたが、近年は、特に「人手不足」や「ノウハウ継承」などの課題を呈されるお客様が多く、これらの課題解消に貢献できないかと常に考えていました。

実際に、お客様から「業務が回らなくなってきている」との声をお聞きする機会が増え、「塵芥車から得られる情報を課題解決に生かせないか」と模索していた中、レシップ社との出会いがあり、本システムの開発につながりました。

実証実験にご協力いただいた企業の経営者様、オペレーター様、ドライバー様からは、以下のようなうれしいコメントをいただき、ドライバーやオペレーターの皆様、そして経営者様の業務効率向上・負担軽減のお役に立つシステムとして完成させるべく取り組んでいます。

従来の「塵芥車」という「モノ」によるお客様のお仕事への貢献だけでなく、お客様のお仕事全般のお困り事を解決できる本システムのような「コト」を通じて社会に貢献したいと考えています。こうした努力を通じて、一人でも多くの方々に、「新明和って、私たちの暮らしを支えてくれている会社なんだな」とあらためて思っていただけたら嬉しいです。

経営者様

車両の状態や位置情報が一目瞭然で、それらに加えて、ベテランのノウハウもシステム上で可視化され、全員で共有できることに最もメリットを感じている。ルートを暗記しなくてもよい、とPRできれば人材獲得の良い武器になるとも考えている。

オペレーター様

トラブル情報や注意点などの連絡事項が、システムに入力するだけでドライバー全員と共有でき、また、日報もドライバーが現地で入力を終えて戻ってくることで、格段に業務効率があがった。

ドライバー様

自宅に帰ってから、翌日のルートを暗記する必要がなくなり、精神面でもメリットを感じた

実証実験にご協力いただいたお客様のお声は、以下のYouTube動画からご覧いただけます。

現場の1日をDX化!「廃棄物収集業務効率化システム」

本件に関するお問い合わせ先

特装車事業部 営業本部 直販営業部

03-3842-6131

特装車事業部 新事業推進部

045-581-4711