用語集
メカニカルシール
メカニカルシールとは
メカニカルシールは、ポンプやコンプレッサーなどの回転機械において、軸部分から流体が漏れることを防ぐ部品です。水処理機器や産業プラント機器、自動車、船舶など幅広い分野で使用され、機械の安全性や効率を高める重要な役割を果たします。
メカニカルシールの役割と必要性
回転機械では、軸と機械の隙間から流体の漏れが発生する可能性があります。この漏れを防ぐことが、メカニカルシールの主な目的です。
従来のグランドパッキン方式では、軸にシール材を巻き付けて密封していましたが、軸や機械本体が摩耗する、潤滑剤を消費するといった課題がありました。一方、メカニカルシールは流体の漏れを防いだまま、軸の動きを妨げず、摩耗を最小限に抑えることが可能です。これにより、以下のような利点を発揮します。
- 漏れ防止性能の向上:微細な隙間で流体を制御し、高い漏れ防止性能を維持
- 摩耗の低減:軸との直接的な接触がないため、機械部品の寿命が延びる
- メンテナンスの軽減:メンテナンス頻度が減り、長期間の安定した運転が可能
- 省エネ効果:摩擦抵抗が少ないため、機械の効率向上につながる
- 安全性の向上:危険な流体の漏れを防ぎ、安全性を確保する
メカニカルシールの構造と仕組み
メカニカルシールは、主に「回転環」と「固定環」という2つの環状部品で構成されます。回転環は軸とともに回転し、固定環はポンプのハウジングなどに設置されます。両者は摺動面※(しゅうどうめん)で接触し、ごくわずかな隙間を保持しながらこすれ合います。この微細な隙間に液体が入り込むことで潤滑層が形成され、漏れを防ぎながら摩耗を抑える仕組みになっています。
- ※部品同士が互いにこすれながら滑り合う部分