オイルシール
オイルシールとは
オイルシールとは、主に機械内部の潤滑油の漏れを防ぐために使用される部品です。
機械が稼働すると内部に摩擦が生じるため、一般的に潤滑油を使用して部品の動きをスムーズにします。しかし、潤滑油を挿しただけでは隙間から漏れ出てしまい、機能低下の原因となります。オイルシールは摩擦部分を保護して潤滑油の漏れを防ぐとともに、外部からのちりやホコリといった異物侵入を防止する役割を持っています。
オイルシールはポンプ製品のみならず、自動車や航空機、船舶、鉄道車両、建設機械、家電製品など、幅広い分野で使用されています。特にエンジンやモータなどの回転部には欠かせない部品であり、機械の安定稼働を支えています。
オイルシールの構造と役割
オイルシールは、主に「金属環」「バネ」「ゴム素材」の3つで構成されています。金属環はオイルシールを固定するために用いられ、バネは密着力を維持する働きをします。ゴム素材は回転軸との接触部分に使われており、オイルの密封機能を果たしています。
回転・往復運動を行う部材に接触する「リップ」と呼ばれる先端部分は、主リップとダストリップの2種類が付いています。主リップはオイルの漏れを防ぎ、ダストリップは外部からのほこりや異物の侵入を防ぎます。リップ部分は接触面積を最小限に抑えるために細く設計されており、摩擦を減らしつつ密封性能を確保しています。
機械の動作中、リップと機械の間にはごく薄い油膜が形成され、摩耗を抑制します。この油膜は、リップ部の摩擦を低減するとともに、大気側からオイル側へ油を引き込むことで、油漏れの防止に貢献しています。この機能を「ポンプ作用」と呼びます。
オイルシールの材料
オイルシールに使用されるゴム素材は、使用環境によって選ばれます。一般的に使用されるのはニトリルゴムで、耐油性や耐摩耗性、コスト面に優れています。また、高速回転箇所など温度変化が大きい場合はシリコーンゴムが、耐薬品性や耐熱性を重視する場合はフッ素ゴムが用いられることが多くあります。