用語集
電気化学的腐食
電気化学的腐食とは
電気化学的腐食とは、金属に電流が流れるために発生する腐食現象です。汚水や海水等の電解質溶液中で異なる金属同士が接触した場合に発生する「異種金属接触腐食」は、その代表的なものの1つです。異種金属接触腐食は「ガルパニック腐食」とも言われます。
例えば、鋼とアルミニウム、銅と鉄などが電解質溶液を介して接触すると、電位差によって一方の金属の腐食が進行します。両者の間にある電解質溶液が、金属間の電流の流れをより促進させます。
電気化学的腐食のメカニズム
電解質溶液を通して金属に電流が流れると、その金属は電子を放出しイオン化します。この時の反応が金属の腐食になります。
異種金属接触腐食では異なる金属が接触しているため、金属間に電位差が生じます。電解質溶液中ではイオン化傾向※が大きな金属に向かって電流が流れるので、イオン化傾向が大きな金属の腐食が進行します。例えば、鉄と銅が接触すると、銅よりイオン化傾向が大きい鉄の腐食が進行します。
- ※金属が溶液中で陽イオンになろうとする性質のこと
電気化学的腐食が進行しやすい環境
電気化学的腐食は以下のような環境で進行しやすくなります。
- 高温多湿の環境:水分が多いことで電解質が活性化し、金属間の電子の流れが促進されます。
- 塩分を含む環境:海水や塩害地域では、塩分が電解質として作用し、腐食が加速されます。
電気化学的腐食の影響
電気化学的腐食が進行すると、構造物の耐久性や安全性の低下、機器の故障、設備寿命の低下、補修コストの発生といった問題が起こります。
なお、電気化学的腐食が金属の表面全体で進行する腐食形態を全面腐食、局所的に発生する腐食形態を局部腐食と言います。水処理の分野においては、局部腐食が短期間で水漏れなどのトラブルになりやすく、注意が必要です。