省エネ・低騒音 ルーツブロワ「ヘリカルX」を開発
2024年04月01日
新明和工業株式会社(本社:兵庫県宝塚市、取締役社長 五十川 龍之)は、このたび、下水処理施設のばっ気に使用されるルーツブロワ向けに、業界初※1となる4葉ヘリカルロータを導入する等、構造を刷新した新型モデル「ルーツブロワ『ヘリカルX(エックス)』」を開発しました。これにより、断熱効率が最大50%向上し(当社製従来機種比)、大幅な省エネ化と同時に低騒音化を実現しました。本新型モデルは、2024年4月1日から販売を開始いたします。

下水処理施設は、水量の増加に伴い電気使用量が増加する傾向にあり、各種機器の省エネ化は国を挙げて取り組む重要課題の一つに挙げられます。
こうした中、「ヘリカルX」は、省エネに主眼を置いて開発した製品で、当社が従来の3葉ロータで採用した、「ねじり」を加えたヘリカルロータを、水処理機器では業界初となる4葉ヘリカルロータへと構造を進化させた点が最大の特長です。4葉ロータは、3葉に比べロータ外径のシール※2数を増やすことができ、断熱効率が従来機種と比べて最大50%向上しました。
また4葉ロータは、3葉に比べて内部に閉じ込めた空気の体積を小刻みに吐き出すため、圧力脈動※3の低減に寄与し、さらに継続してヘリカルロータにすることで連続吐出しが可能となり、騒音値は従来のルーツブロワと比べて騒音を最大3dB削減することに成功。防音カバーがない機械室でも快適な作業環境を提供します。
浄化槽システムの脱炭素化推進事業では、既設機器からの置き換えにより、CO2排出量を従来機種比で20%以上削減すると、当該事業に要する経費の1/2の補助金を受けることができます※4。今般開発した断熱効率性の高い「ヘリカルX」は、8つの型式をラインアップしており、従来機種の多くが補助金の対象となる見込みです※5。
また、ケーシングの取付寸法は従来機種と同一となっており、従来のモータを使用したブロワ単体の置き換えが容易であることも特長のひとつです※6。
流体事業部では、今後も各製品のさらなる省エネ化や省人化対策等、製品・サービスを通じて「環境インフラ」の高度化、および持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
- ※1「業界初」とする根拠:社団法人 日本産業機械工業会 風水力機械部会 ロータリ・ブロワ委員会 会員企業に関する自社調べによる
- ※2「シール」:流体(液体など)の漏れ、または、外部からの異物の侵入を防止する部品・装置
- ※3「圧力脈動」:ロータが回転して、ロータ間に閉じ込められた空気が断続的に吐き出されることで発生する周期的な圧力変動
- ※4浄化槽システムの脱炭素化推進事業の詳細情報につきましては、一般社団法人 全国浄化槽団体連合会のウェブサイトをご参照ください。
- https://www.zenjohren.or.jp/index.html
- ※5断熱効率につきましては、お客様がご使用になられる運転条件(吐出圧力と送風量)によって消費電力が変わるため、詳細については、末尾に記載しております「製品に関するお問い合わせ先」までお問い合わせください。
- ※6ヘリカルブロワのラインアップのうち、口径20mmと25mmは単体置き換え対象外です。
1.特長
- 1断熱効率の向上
4葉ロータを採用し、ロータ外径部のシール数を増やすことで、断熱効率が向上しました。
- 2騒音最大3dB(エネルギー密度50%)削減で、低騒音化を実現(従来機種比)
4葉ロータを採用し、ヘリカルロータにすることで低脈動・連続吐出が可能となり、低騒音化が実現しました。
- 3圧力範囲の拡大
標準機種で60kPaまでであった圧力範囲を、80kPaまで拡大しました。空冷ファンなしで使用できます。
- 4良好なメンテナンス性と信頼性
タイミングギアのギアオイルを確実にシールするため、耐熱性に優れたフッ素ゴムオイルシールを使用。輸送時、運転時にオイル漏れすることはありません。
- 5補助金申請可能
浄化槽システムの脱炭素化推進事業では、既設機器からの置き換えにより、CO2排出量を従来比で20%以上削減すると、当該事業に要する経費の1/2の補助金を受けることができます。今般開発した断熱効率性の高い「ヘリカルX」は、8つの型式をラインアップしたことで、従来機種の多くが補助金の対象となる見込みです。
2.省エネルギー効果(試算例)
4葉ロータを採用することで、消費電力を大幅に低減することができました。
一例として、口径40mmの型式について試算例を示します。
型式 | 開発機 「ヘリカルX」 ARH40EX |
従来機 ARH40E |
---|---|---|
騒音 | 70 dB(A) | 72 dB(A) |
吐出圧力 | 40 kPa | 40 kPa |
空気量 | 1.06 m3/min | 1.06 m3/min |
軸出力 | 1.12 kW | 1.70 kW |
断熱効率 | 55.9 % | 36.8 % |
効率アップ | 51.9%アップ | |
年間消費電力量 | 5,640 kWh/年 | 8,560 kWh/年 |
年間消費電力費 | 141千円/年 | 214千円/年 |
削減幅 削減率 | 73千円/年 34%低減 | |
CO2排出量 | 2,820 kg-CO2 | 4,280 kg-CO2 |
CO2削減量 | 1,460 kg-CO2削減 |
試算の条件:
- モータ効率87%、12時間/日運転の場合。
- 電力単価は25円/kWhとする。
- 二酸化炭素係数は0.5 kg-CO2/kWhとする。
3.開発機種
今回、以下の8つの型式をシリーズ化しました。
口径 mm |
型式 | 出力 kW |
回転数 min-1 |
圧力範囲 kPa |
空気量範囲 m³/min |
---|---|---|---|---|---|
20 | ARH20EX | 0.4 ~ 0.75 | 1,660~1,840 | 10~60 | 0.2~0.3 |
25 | ARH25EX | 0.4 ~ 1.5 | 2,060~2,940 | 10~60 | 0.3~0.6 |
32 | ARH32EX | 0.75 ~ 1.5 | 870~1,580 | 10~60 | 0.3~0.8 |
40 | ARH40EX | 1.5 ~ 2.2 | 1,270~2,530 | 10~60 | 0.5~1.4 |
50 | ARH50EX | 1.5 ~ 3.7 | 1,250~2,240 | 10~80 | 0.8~2.4 |
65 | ARH65EX | 2.2 ~ 7.5 | 1,120~2,650 | 10~80 | 1.4~4.5 |
80 | ARH80EX | 3.7 ~ 11 | 1,180~2,570 | 10~80 | 2.2~6.6 |
100 | ARH100EX | 5.5 ~ 11 | 1,040~2,100 | 10~80 | 3.5~8.8 |
4.主な用途
- 下水処理施設・浄化槽、工場排水処理施設のばっ気用
- エアブロー用
5.発売開始日
2024年4月1日
6.販売価格
代表機種 ARH65EX(3.7kW,三相200V) 1,252,400円(消費税別)
7.販売目標(2025年度)
2,000台
本件に関するお問い合わせ先
報道機関の方
〒665-8550
兵庫県宝塚市新明和町1-1
製品について
流体事業部 事業推進本部
〒230-0003
横浜市鶴見区尻手3-2-43
以上
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これらの情報は、当社グループの事業戦略および組織の変更などにより、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。