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機体組立 
「ブロック工法」で、効率的につくっていきます
前回に引き続き、「US-2」の機体組立の工程をご紹介します。
前回は、パーツを組み合わせてフレーム(円框(えんきょう))とストリンガー(補強材)で骨組みをつくり、そこにスキン(外板)を張っていくという「セミ・モノコック」構造のお話でした。「US-2」のような大型機の場合は、これを複数のブロックにわけて並行してつくり、それらを最後に組み合わせて一気に航空機の形に仕上げていきます。これを「ブロック工法」といいます。
 ブロック工法により、作業を大幅に効率化できます。
たとえばスキンをリベットで留める際、裏側から支えが必要になる場面がありますが、ブロック工法なら簡単に裏側に作業員が回り込めますし、意思疎通や合図もしやすくなります。
また、技術力のある協力会社(サプライヤー)の工場でも並行して作業できるというメリットもあります。実際、「前中胴(ぜんちゅうどう)」といった機体の大きな部分も協力会社が製造しています。機内搭載の電子機器等も含めると、「US-2」には約1,400社が参画しているそうです。
(1)これは、フロート(主翼からぶら下がっている浮舟)の支柱です。空気抵抗を最小にするため、リベットを打った後表面のわずかな凹凸も完全になくなるよう処理します。
(2)翼の前縁部分です。ここもフレーム、ストリンガー、スキンで構成されています。この内側には、この後の工程で燃料や油圧の配管、電気系統の配線が通されます。
(3)普通の飛行機にはない「艇底」、つまり船の部分です。離着水時に高い水圧がかかるので、一般的な飛行機よりも強固な構造になっています。
(4)海水に触れる部分は、防水のためのシールもしっかりと施します。リベットは、空気抵抗を低くしたい部分はスキンと段差ができない皿頭リベット(沈頭鋲(ちんとうびょう))を使い、より強力に固定したい部分には丸リベットを使います。
(5)主翼をつくっています。ここも「セミ・モノコック」ですが、飛行中は機体全体がここからぶら下がるため、かなり頑丈なようです。内部は燃料タンクとしても使用します。
(6)「US-2」は新明和だけではなく、たくさんの協力企業が参画してつくっています。これは他社でつくられた「前中胴」が深夜に甲南工場に搬入されるシーンです。
(7)「前中胴」です。与圧構造になっていて、旅客機のように高空でも酸素マスクが必要ありません。
(8)「水平尾翼」です。作業員が立っているところが、垂直尾翼の取り付け部分です。
新明和工業は、川西航空機時代から飛行艇の設計・製造のノウハウを受け継いでいますが、その設計に従って多くの企業が自社の技術を発揮してつくっているわけです。“日本の技術力の結晶”ともいえるのかも知れませんね!
ライター 板倉秀典
- ※本連載は、防衛省の許可を得て制作、掲載しています。内容および画像の転載はご遠慮ください。
 
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