当現場は港に接する雨水排水路ですが、大潮・満潮と台風襲来が重複して大雨が降ると内水が排除できなくなり、上流部で浸水する恐れがありました。この排水路の上流には主要道路・市街地・観光地区があるので、なんとしても浸水被害の発生を防止したいという想いがあったのです。

従来のポンプ場の方式では水路に隣接してポンプピットを設ける必要がありましたが、狭小な現場であり、ポンプピットを構築するスペースはありませんでした。そこで、新明和では水路内にほぼすべての設備を構築できるポンプゲート方式によるコンパクトな設備を提案いたしました。

ポンプの選定にあたっては単に所定の排水量を満足するだけでなく、海水による腐食への対策として要部材質を強化し、犠牲陽極を取り付けることで長寿命化を図りました。また、ポンプはメンテナンス性に優れる自動接続形とし、ポンプ専用の吊上装置も設置していただくよう提案いたしました。

設置後、本ポンプは数回の台風通過を経験しましたが、一度も浸水被害が発生しておりません。点検時はポンプをゲートから取り外すことができるので、作業員が水路内に入ることなく、容易にメンテナンスを行うことができます。また、現場には歩廊等安全設備もあるので、運用時には作業員の転落などもなく、無事故での運用を継続しています。