流体(水処理機器)

縦軸機械式ばっ気装置 新型モデル6型式を開発

- 反応タンクの省エネルギー化に貢献 -

2019年08月19日

新明和工業株式会社(本社:兵庫県宝塚市、取締役社長 五十川 龍之)は、このたび、下水処理場の反応タンク内で使用する「縦軸機械式ばっ気装置(SVJ)」の新型モデル6型式を開発し、8月1日から販売を開始しました。

近年、下水道は、日本の総電力使用量の0.75%を恒常的に使用する"大口需要家"と位置付けられており、国をあげて、下水道の消費エネルギーの約1割削減を「新下水道ビジョン(2014年策定)」の中期目標として掲げるなど、24時間365日稼働する下水処理関連機器の省エネルギー化は、社会的課題となっています。

今回新たに投入する「縦軸機械式ばっ気装置」では、多くの電力を消費する反応タンク内に設置されるばっ気装置の省エネルギー化を図りました。反応タンク内のばっ気装置として、通常は多孔性散気装置や水中エアレータを使用しますが、本開発機に置き換えることで、当社製の水中エアレータ使用時と比較して30%以上の省エネルギーとなります。さらに、当社初の「表面ばっ気装置」として減速機モータが地上部に出る設計としたことで点検が容易に行えるなど、メンテナンス性も優れています。

また、条件によっては、日本下水道事業団殿仕様の「縦軸型オキシデーションディッチ機械式ばっ気装置」としても使用でき、公共下水道施設や産業排水処理設備への適用等、幅広いニーズに対応できることも特長の一つです。

当社は、本業である製品・サービスを通じた社会貢献を旨としております。今般開発した「縦軸機械式ばっ気装置(SVJ)」のみならず、これまでも大幅な省エネルギー化を実現した「縦型低動力撹拌機(SVM)」や「高効率水中ミキサ(SME)」を市場投入するなど、水処理機器の省エネルギー化に注力してまいりました。今後も、各種水処理機器の高効率化と高性能化の具体化に努め、「SDGs(持続可能な開発目標)」達成に貢献してまいります。

  • 出展:国土交通省 平成30年版「日本の水資源の現況」

1. 特長

  1. 1新たに軽量・高効率なロータを開発

    流体解析および強度解析に基づき、高い酸素移動効率と撹拌性能を両立した高効率ロータを新たに開発、これにより、大幅な省エネルギー化を実現しました。

  2. 2し渣(ごみ)の絡みつきを抑えたロータ形状

    反応タンクでは、髪の毛など大量のし渣を含む状態でかく拌を行う必要があるため、し渣が絡み付きにくい形状のロータを採用しました。

  3. 3すぐれた耐久性

    新たに、減速機モータとロータの間に低速軸保持部を設けました。ロータの回転による荷重をこの低速軸保持部で受ける仕様にしたことで、減速機モータにかかる負荷が低減し、減速機モータの耐久性が大幅に向上しました。また、ロータには耐久性の高いステンレス製の素材を採用しています。

  4. 4メンテナンス性の向上

    本開発機は、給脂等のメンテナンス頻度を従来機より少ない年1回としました。また、減速機モータの位置を地上に置いたことで、引き上げ作業が不要となりメンテナンス性も改善しました。

  5. 5日本下水道事業団仕様に適合

    「縦軸型オキシデーションディッチ用機械式ばっ気装置」の仕様に合致しており、条件によりオキシデーションディッチ槽のばっ気装置としても使用できます。

  6. 6酸素移動量の増減が容易

    インバータに接続してロータの回転数を変えることで、酸素移動量を容易に増減できるため、流入負荷に応じた省エネ運転が可能です。

2.省エネルギー効果の試算

表1.水中エアレータ方式との比較 (試験槽サイズ 8m×8m×5m)
  開発機 水中エアレータ方式
縦軸機械式ばっ気装置
SVJ75
水中エアレータ
SJ37
陸上ブロワ
ARS65E
定格出力 7.5 kW 3.7 kW 5.5 kW
消費電力 合計 7.1 kW 10.3 kW
酸素移動量 15 kgO2/h 15 kgO2/h
消費電力 差 Δ3.2 kW(31%)

3.開発機種

反応タンクの大きさに応じて選択可能な6型式をシリーズ化しました。

表2.開発機種
型式 定格出力
(kW)
ロータ直径
(m)
酸素移動量
(kgO2/h)
反応タンク
(m3
概算質量
(kg)
SVJ75 7.5 ⌀ 1.7 12 320 580
SVJ110 11 ⌀ 1.8 18 470 720
SVJ150 15 ⌀ 1.9 25 640 950
SVJ185 18.5 ⌀ 2.1 31 790 1,000
SVJ220 22 ⌀ 2.3 37 940 1,550
SVJ300 30 ⌀ 2.5 50 1,280 1,650

4.主要販売先

プラントメーカー

5.販売開始日

2019年8月1日

6.販売目標(2020年度)

15台/年

本件に関するお問い合わせ先

報道機関の方

経営企画本部 広報・IR部

〒665-8550
兵庫県宝塚市新明和町1-1

製品について

流体事業部 事業企画部

〒230-0003
横浜市鶴見区尻手3-2-43

以上

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