ターボブロワ遠隔監視サービス "KNOWTILUS"の開発

IoTとAIの活用で
省人化と安定稼働をサポート
ターボブロワ遠隔監視サービス
「KNOWTILUS」

開発の背景

日常生活や生産活動に伴う排水の適正処理には、下水処理場や排水処理施設の安定稼働が不可欠であり、ストックマネジメント(施設管理)の重要性が高まっている。
加えて、労働力不足が常態化する現代にあって、次のような課題解決が求められている。

  • 管理業務の効率化・省人化
  • 予防保全の高度化と事後保全の迅速化
  • 製品ライフサイクルの最適化・長期化

新明和のソリューション

24時間、毎日休むことなく稼働する下水処理・工場排水処理の工程で、“ばっき”用途として使用される重要な設備である「ターボブロワ」。その管理業務の効率化及び安定稼働を支援するために開発したのが、ターボブロワ遠隔監視サービス「KNOWTILUS(ノーチラス)」である。

通常、ターボブロワの安定稼働には、緊急時に備えて夜間・休日に人員を配置したり、稼働状況に問題がないか本体表示パネルを確認するなど、設置現場での対応が必要となる。しかし、「KNOWTILUS」を導入することで、ターボブロワと各種端末がインターネットでつながり、事務所や自宅に居ながらにして、本体表示パネルと同画面をパソコンやスマートフォンで閲覧できるほか、エラー発生があればその詳細内容がメールで通知され、迅速かつ的確な状況把握と初動対応が可能になる。
さらには、任意の時間軸の稼働状況をグラフで確認できる機能や、日報などの帳票が自動作成できる機能、AIによる機械学習を活用した稼働データを分析する機能を搭載し、課題であった管理業務の負荷軽減とともに、効果的な予防保全や突発的なトラブル回避により、ダウンタイムを極小化できる。
2019年9月からサービスの提供を開始しており、利用しているお客さまから

  • 『管理の仕方が大きく変わった』
  • 日報、週報の作成が自動でできるため、大幅に業務負担が減った。
  • 現場に行かなくても、ターボブロワの運転状況が確認できるため、業務の効率化が図れ、かつ、いつでも確認できることの安心感が大きい。
  • エラー(故障)が携帯とパソコンでリアルタイムに把握できるため、迅速な対応ができるようになり、生産性の向上に寄与している。

など、高い評価を得ている。

  • 「ばっき」=水質の浄化を目的に、微生物による有機物の分解に必要な酸素を供給するために、空気を吹き込んだり攪拌 (かくはん) すること

主な特長

  1. 1.遠隔地においてもパソコンやスマートフォンで稼働状況が確認可能
  2. 2.異常時・エラー発生があれば、メールで通知し、かつトレンドグラフにも表示
  3. 3.日報・週報・月報等、帳票類の自動作成機能を搭載
  4. 4.回線の死活を自動検出するとともに回線遮断時には稼働データを取得・保持
  5. 5.AIによる機械学習で予防保全と安定稼働を支援

開発現場の声

流体事業部 小野工場 設計部 流体機器第3グループ
 山田さん
流体事業部 事業企画部 IT推進グループ
 角野さん

左から:山田さん、角野さん

山田「市販の遠隔監視サービスを運用していくうちに、お客さまや、メンテナンスを担当している新明和アクアテクサービスのサービス員から『性能曲線のグラフ表示ができず、一目で状態が把握できない』『報告書の加工に手間がかかる』などの声が寄せられ、課題が見えてきました。また、サービス員が、現地へ駆けつけてから原因究明に当たっていたため、トラブル解消に時間が掛かっていたことから、「『設備管理業務の高効率化』と『予防保全による安定稼働』を共に実現したい!」との思いから、新しいシステムの自社開発に着手しました。」

角野「流体事業部は、ポンプの開発・販売では60年以上の歴史を誇ります。ただこうしたサービス、いわゆる「コト売り」を手掛けた経験が少なく、目標は定めたものの、お客さまにとって価値あるサービスを商品化するために、顧客価値を定義するのに苦労し、数年間のテスト運用を重ねてようやく世に出すことができました。
今回は、ゲートウェイからクラウドサービスを一貫して提供するソフトバンクグループの協力を得て、最適なシステム基盤の選定や要件定義を行うことができ、当社はサービス内容や営業とサービス員との連携スキームの構築に専念できました。」

山田「システムの維持管理コストを最小限に抑えることも重要なポイントでした。ターボブロワに標準装備したため、お客さまには導入コスト負担なしでご利用いただけるサービスが構築できました。」

角野「メーカーとして、より良い製品を開発し提供するだけではなく、設備の維持管理の労力を少しでも軽減し、何より“稼働”し続けるようサポートすることも使命の一つと考えています。
IT部門の担当者として、今後も実際に使用されるお客さまやサービス員の声を真摯に聞き、更なる改良を加え、サービスの向上を目指していきます。また、社内外のビッグデータをセキュアに繋ぎ、利活用できるクラウド基盤を構築し、新明和としての新たなビジネスモデル確立に寄与したいと願っています。」

山田「今後は、他の製品にも本サービスが適用できるようにし、より付加価値の高いサービスが提供できるよう開発を進め、水処理関係施設の管理業務の更なる高効率化と安定稼働に貢献したいと考えています。」