広がる「US-2」の可能性

陸上はもとより、荒海にも離着水できる「US-2」。防衛省が開発した装備品ではありますが、この機体の民間、もしくは他省庁への転用が実現すると救難・救急患者の移送以外にも、様々な活用が可能な多様性を秘めています。

旅客輸送飛行艇

大規模な改造で民間型式証明を取得した場合。

主な活用法

  • 離島住民の都市部への交通手段

多目的飛行艇

小規模な改造で目的に応じた機能・性能を付加した場合。

主な活用法

  • 災害救援
  • 離島の医療支援
  • 洋上監視、国境離島保全
  • 物資輸送、国際緊急援助

担当者インタビュー

写真:川西 康夫

航空機事業部 上席担当部長
川西 康夫

海上自衛隊の皆さんから「US-2」はどのように評価されていますか?
パイロットの方からは「US-1Aと比べると格段に操縦しやすい」との感想が寄せられています。
操作性能の改善に加え、機内を与圧化したことで部隊の方にとっても、そして救難者にとっても快適な空間になりました。
また、「長距離航続性能」が飛躍的に向上したことも「US-2」の評価が高まった理由の一つです。無給油で飛行できる距離が格段に延びたことから、運用の選択肢も広がったようです。
「US-2」に対する海外の関心も高まっているようですね。
水陸両用の航空機を製造しているのは日本、カナダ、ロシアの3カ国のみです。その中で、外洋に着水でき、大人数を乗せることが可能で、かつ長距離を飛ぶことができる、これらの市場要求をすべて満たしているのは「US-2」だけです。
今、メーカーである私たちに課せられているのは「製造コスト」の削減ですね。
「US-2」の運用範囲が広がると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
国の財産を使って開発した機体ですから、まず、国内での用途拡大が先決と考えています。
私たちが研究している一つは「US-2」に消防機能を付けることです。頻発する林野火災の消火活動に有益であるだけでなく、大規模災害が発生した時、消防車やヘリコプターでは対応できない場所で消火活動できる点が最大の利点です。
この他に、ドクターヘリでは対応できない離島の救急患者に対し、「救急飛行艇」を派遣するのも一案です。
「US-2」ならではの水陸両用能力を生かした運用を考えると、可能性は更に広がります。離島に住む方々の安全や福祉を守ることは、国を守ることにつながります。こうした取り組みの具体化を経て、近い将来、技術力で社会貢献する象徴として輸出も実現していきたいですね。