ホーム > 更新情報 > 事業・製品ニュース > 2重ループPLLによるモータ速度制御の高速追従性能向上を実現
2009年8月28日
新明和工業株式会社(取締役社長 金木 忠)は、舞鶴工業高等専門学校(学校長 小野 紘一)と共同で、PLL※1制御によるモータ速度制御において、高速追従性能を実現できる2重ループPLLを採用したモータ速度制御(特許出願中:特願2009−151029)の実用化を進めており、この度、その研究成果を9月に開催される「国際フロンティア産業メッセ2009」に出展します。
当社では、従来から円板状記録媒体(ハードディスク等)の検査装置および製造装置用に、高速回転で回転むらの小さなエアスピンドルを供給しており、このエアスピンドルを駆動させるために、PLL制御を使用したドライバを製造しています。
昨今、パソコンや情報家電市場で多用されている円板状記録媒体は、高速・大容量化に伴い驚異的なペースで記録密度を上げ、なおかつデータの転送速度も速くなっています。
この記録密度の上昇が円板状記録媒体の高精度な回転(回転むらが小さい)を要求し、転送速度はディスク径と回転速度に比例しているため、回転速度も上げることが要求されています。
当社では、こうした一連の要求事項の解決と、今までのPLL制御には無かった高速追従性能を追加させるため、『2重ループPLL』に着目し、これをモータ制御に応用することで、当社の主要ターゲットであるハードディスク検査装置分野における生産性の向上や、他分野にも応用展開できると考えました。
そこで、従来からPLL制御について技術的に交流のあった舞鶴工業高等専門学校 電子制御工学科 町田秀和講師と共同研究することになったものです。
従来のPLL制御は、一定速度で回転させた場合、回転指令パルス信号に対してフィードバックパルス信号が同期するため、原理的に速度偏差のないモータ制御系と評価され、回転体の制御に広く応用されてきました。しかしながら、急激に加減速した場合、回転指令パルス信号とフィードバックパルス信号が同期化されず、またPLLロック※2が一旦外れると、PLL制御特有の引き込み振動※3が発生する等の問題が発生するため、対応策として (1) ゆっくり加減速させる、(2) 加減速時を速度制御として回転が比較的安定した段階でPLL制御に切り替える、といった方法が取られています。
今回の方式は、制御に2つのPLLループを使用するもので、第一のPLLループが第二のPLLモータ速度制御系のフィードフォワード※4要素となり、高速応答と高速追従性の向上の両立を実現するものです。当方式を採用することで、急激な加減速時でも回転指令パルス信号とフィードバックパルス信号を同期させ、極短時間でPLLロック常態に回転制御させることが可能となりました。
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今後、継続して当方式の有効性を検証し、応用展開の第1段階としてハードディスク検査装置、ウェハ検査装置、DVD製造装置をはじめとする高速応答を必要とする製品市場をターゲットに、当社の既存ドライバである「NS20(モータを駆動するパワー素子をノンスイッチング〔リニア〕動作にすることにより、ノイズの発生を抑制したモータドライバ)」に搭載した装置を、2011年春までに製品化する予定です。
また第2段階として、フィルムやシート、ケーブルの巻取り・送り装置に使用する回転機構装置や、超高精度加工装置の分野への応用についても研究を進めていく予定です。