固定翼型無人航空機“XU-S”の研究開発

航空・宇宙における新分野を目指して
固定翼型無人航空機「XU-S」の研究開発

最新の取り組み

固定翼型無人航空機“XU-S”

主要諸元
寸法 全長 2.5m×全幅(翼幅)6.0m×全高0.4m
飛行重量 8.0kg
材質 繊維強化複合材
操縦系統 無線操縦系統・自律操縦系統
電源系統 リチウムポリマー電池
推進系統 双発 電動モータ・プロペラ

“XU-S”の想定している用途

“XU-S”用途概念図
  1. 1.観測、監視などの情報収集
  2. 2.インターネット・携帯電話基地局の電波中継 など

地震・台風などの大規模な自然災害の予測・観測に加え、近年はゲリラ豪雨やPM2.5といった新たな気象現象に関するデータ収集の重要度も高まっています。これらを観測するには、長時間にわたって広範囲を迅速にカバーする飛行能力が必要となります。また過疎化に伴う山岳・海域などの飛行監視においても同様の性能が求められます。さらに情報通信分野では、通信網の未整備や寸断地域においてさまざまなシステムとの連接による通信中継が期待されています。

開発の背景

いわゆる「ドローン」を含む無人航空機の市場は年々成長の一途をたどり、活用領域のさらなる拡大が見込まれている。同時に「長時間」「高高度」での飛行に耐え得る機体開発への関心も高まっている。

新明和のソリューション

航空機事業部では、ボーイング787の主翼桁(スパー)をはじめとする最新鋭機の部品製造や、世界で唯一、外洋での離着水が可能な水陸両用飛行艇「US-2型救難飛行艇」を防衛省向けに製造するなど、会社の起源から脈々と続く確かな技術力で世界の航空機産業の一翼を担っている。
この最先端技術と、我が国における希少な完成機メーカーとして蓄積した経験を生かし、特に航続性能と積載性能を意識した、固定翼型無人航空機「XU-S(Experimental Unmanned / Utility aircraft by ShinMaywa)」の研究開発に着手した。
2019年10月9日には、新潟市の協力を得て、同市内で「XU-S」の飛行試験を行い、高度100m、見通し範囲内で1時間を超える自律飛行に成功するとともに、基本的な飛行性能を確認した。
その翌年に行った飛行試験では、3時間42分の長時間滞空に加え、135kmの飛行に成功し、現在もさまざまな機関や企業の協力のもと、事業化に向けた各種実証実験を行っている。

無人航空機“XU-S”飛行試験動画

開発現場の声

航空機事業部
技術部 企画研究課
 宮内さん

 本研究は2015年にスタートしました。企業における研究活動は止まれば溺れる鮫のようなもので、あれこれ考えるばかりでモノを形にできなければ、社会にPRし反響を得てニーズを汲み取ることもできません。従って、「常に何を作るべきか悩みつつも人を説得し資金・場所・機会を獲得し続けなければならない」というのが一番苦労している点です。
 幸い、新潟市で“XU-S”の飛行試験を成功裏に終え、経過を広報したところ、さまざまな研究機関や企業から反響がありました。開発している機体そのもの以外に、その設計・製造能力と当社事業に対して新たな期待を寄せていただけたことが最大の成果であり、スタッフ一同のモチベーションにも繋がりました。今後も早期の社会実装を目指して開発を継続し、成果を広く周知するとともに皆様の声に注意深く耳を傾けて参ります。なお、本事業に関するご要望や、本機に限らず共同開発に関するご相談を受け付けております。以下担当部門までメールでお気軽にお問い合わせください。

事業パートナーを募集しています

今般開発している技術は、上記分野以外にもニーズに応じて機体規模・推進システム・ペイロード搭載方法・離着陸/水システムなどを変更することが可能です。性能・ミッションに関するご要望や、共同開発に関するご相談を受け付けておりますので、以下担当部門までメールでお気軽にお問い合わせください。

新明和工業株式会社 無人航空機 問い合わせ窓口:
info.uav@shinmaywa.co.jp